不妊の検査とは? ~検査で自分たちの身体と向き合おう~
全国の約3割の夫婦が一度は心配したことがあるという不妊。夫婦が子作りを開始して1年以上妊娠成立しなかった場合、これを今の定義では「不妊」と呼びます。
このような時、「妊娠しないのは、もしかして私(女性側)に原因があるのでは…」と思い悩んでいませんか?
一番良くないのは、不妊の原因がわからない状態でモヤモヤし続けること、妊活にストレスは禁物です。不妊と前向きに付き合っていくためにも、まずは原因を知るため検査に行きましょう。
とはいえ、検査に行くにも、なかなか勇気がいりますよね。
そもそも不妊の検査ってどのタイミングで行けばいいの?不妊の検査はどこで受診できるの?検査って何をするの?検査に行った後の流れは?など検査に行く前の根本的な疑問についてまとめましたので参考にしてみてください。
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不妊の検査は「不妊」じゃなくても行っていい!?
不妊検査というからには子作り解禁から1年間は検査に行けないと思っていませんか?
「不妊」なんて単語がついているのでややこしいですが、検査に行くタイミングに決まりはありません。若すぎるからとか最近結婚したばかりとか、何も気にすることはありません。これは大袈裟かもしれませんが、結婚をされていない方でも女性側の検査だけであれば勿論受診出来ます。
また不妊検査は、女性の場合、女性疾患(子宮筋腫やポリープなど)を早めに見つけることも出来ます。ようは健康診断みたいなものです。
今の世の中、平均結婚年齢は30歳、また、皆さんご存知の通り高齢出産といわれる年齢は35歳以上です。もしも夫婦どちらか、もしくは両方に何か疾患が見つかった場合、内容によってはその疾患を治すまで妊娠出来ないということもあります。
そう考えると、思い立ったが吉日、不妊でも不妊じゃなくても、まずは検査に行って、自分たちの身体の状態を正しく知りましょう。
不妊の検査は夫婦で一緒に!産婦人科へGO!
それでは、どこに行けば検査をしてくれるのか?
答えは、産婦人科です。
不妊専門の病院もありますが、家が遠い方などは最初から専門医を受診する必要はありません。近所の産婦人科が、不妊検査を行っているかをまずは電話等で確認しましょう。最近ではホームページに診療内容を細かく記載してくれている病院も増えてきましたが、結局予約を入れる時など電話をしなくてはならないので、ここは勇気をだして、電話で、他に気になることなどまとめて聞いてみることをお勧めします。
そして、不妊症の検査には初診から、できる限りご主人と一緒に行きましょう!
不妊症は、女性だけでなく男性も対象、夫婦の問題です。とは言え、お仕事の関係や、そもそも産婦人科に行くこと自体に腰が重いという方もいると思います。そんな時は、あまり強制せず、「今度産婦人科へ念のため不妊検査に行ってくるね♪」とせめて報告だけはしておきましょう。しかし、後々必ずご主人も検査が必要になります。奥様だけで初診に行った場合、問診で聞かれたことや今後の流れ(特に検査の内容)は、お医者さんから言われたことをそのままご主人に説明しておきましょう。新入社員が最初によく言われる報告・連絡・相談、夫婦間でも大事なことだからこそ同じことが言えますね。
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不妊検査の一覧
では、今回のテーマである不妊検査とは一体どんなことをしていくのか。その検査をすることで何を知れるかも含めて、どの機関でも必ず行う6種類を詳しく見ていきましょう。
基礎体温のチェック
初診前時点で数か月分の基礎体温を測っていればそれをグラフに書くなどしてお医者さんに提出しましょう。
生理の規則が正しい人であれば、お医者さんが基礎体温表を数か月分みるだけで、ある程度の排卵日を予測し妊娠の確率が高い日に性交のアドバイスをしてくれます。また、黄体機能不全の有無を究明するのにも基礎体温のチェックは役立ちます。
検査というよりは、問診で終わりなので、ほぼ確認に近いですね。
経膣超音波診断
検査は、膣内に親指程度の太さの管を挿入し子宮内膜や卵胞をモニターに映し出し、その様子を観察するというものです。この検査で、子宮筋腫・子宮腺筋症・卵巣嚢腫などの発見が可能です。
初回は、子宮内部に疾患がないかを確認するため検査という名目が濃いですが、その後、不妊治療を開始した場合は排卵日を推定するため月に2・3回はこれをうけることになります。初めて膣に管を挿入される時は何とも言えない感覚だと思いますが、痛みを感じるという人はあまり聞きません。安心して受診してください。
子宮卵管造影検査(HSG)
この検査は生理が終わってから排卵前までの間にのみできるもので、検査の期間は2日間にわたります。
卵管の形状や通過性、子宮の形状やポリープ・卵管周囲の癒着がないか、など得られる情報はとても多く、必要不可欠な検査です。産婦人科によっては通水テストや通気テストという検査で代用している場合もあるようですが、子宮卵管造影検査の方がその診断性は優れていると言われています。出来ればこの検査を行っている産婦人科を受診してください。検査の流れは、まずレントゲン室に寝転がり子宮の入り口から造影剤を注入、その模様をモニターで確かめながら、子宮の形や卵管の通過性などをチェックします。翌日、前日に注入した造影剤がきちんと腹腔内で拡散しているかを調べるため、再度レントゲン撮影を行います。初日、2日目とも10分程度で終了します。
他の検査と違って、この検査は唯一痛い!痛くなかったという方もいらっしゃるようですが、80%くらいの確率(筆者口コミ調べ)で痛みを感じます。造影剤を注入されている時が痛かったという人が多いようです。痛みを例えると、生理痛のような鈍痛や強度の下痢を起こした時の腹痛のようなものでしょうか。痛みに弱い方など、病院によっては麻酔を打ってくれる所もあるようです。気になる方は初診時等、検査の説明があるときに確認しておきましょう。
また、検査時に痛みがあると卵管障害がある場合が多いという説がありますが、私の場合は何の障害もなくただ痛かっただけという結果でしたので、痛みあり=卵管障害確定ではない、ので安心してください。「じゃあ、検査で何も見つからなかったらただ痛かっただけ?(涙)」とがっかりしないで!痛いからには良いことももちろんあります。この検査により卵管が狭かった人は造影剤を注入したことでトンネル掃除のように管がスッキリ!卵管が広がるため、検査後6か月とくに直近の3か月間は妊娠率が上がりやすいゴールデン期間と呼ばれています。ということでこの検査は治療もかねているのです。痛みは怖いですが、メリットもあります!緊張しますが、頑張って検査に臨みましょう。
頸管粘液の検査
頸管粘液とはいわゆるおりもののことです。頸管粘液は、その量や性状が卵胞の成熟度合いを予測する1つの目安となり、また妊娠との関連性も強いため、採取し検査を行います。痛みは全くありません。
頚管粘液は、排卵の数日前から次第に量が増し、基礎体温の最終低温日ごろには0.3~0.4mlまで達します。頚管粘液量がピークに達した日を目安に、検査は排卵数日前に行います。
フーナーテスト(性交後テスト)
この検査は、事前にお医者さんから性交タイミングのアドバイスをもらい、性交後の頸管粘液をチェックするもので、これにより、女性の体内に精子の動きを阻害する物質、抗精子抗体がないか、また運動率の良い精子が頸管粘液の中でたくさん生きているかを確認する検査です。超音波診断によりお医者さんが排卵予測日をだしてくれますので、指定された日の夜または翌日早朝に性交した後、午前中のうちに病院へ行き、注射器で頚管粘液を採取します。痛みは全くありません。
もし初回の検査結果が良くなかったとしても、精子の状態が日によって違うので、1回の検査で良否が判断できるわけではありません。その場合は何か月か繰り返し同じ検査を行うこともあります。
精液検査
名前をみてお分かりの通り、この検査はご主人の協力が必須です。性交後のコンドームを持っていけばいいのでは?と思うかもしれませんが、それではゴムの内側に塗布してある薬剤が精子に悪影響を与える恐れがあり、正しい結果がでないのでNGです。
精液の採取は、病院で行う方法と自宅で行う方法があります。病院で行う場合、採精室という個室があり、そこで内側から鍵をかけマスターベーションにより射精を行います。また、自宅で採取を行う場合は、病院に持っていく間に精子の質が低下してしまわないよう、病院からの事前の指示(採取時間や精子の持って行き方について等)をよく確認しておきましょう。精子を採取時とほぼ変わらない状態で病院に提出出来れば、ご主人の同行は必要ありません。そして、射精した精子について数や運動の状態、その形など顕微鏡を使って詳しく調べていきます。
この検査をするにあたってはいくつかの注意点があります。まず、精液検査をする前は5日~7日の禁欲期間が必要です。禁欲期間が短すぎても長すぎても数や運動状態など正しい検査結果が出ないので気を付けてください。
次に検査結果についてですが、精液検査の結果は当日中にはでません。後日また何かしらの違う検査をする際に結果をお伝えしますと言われる場合がほとんどです。出来れば結果はご主人と一緒に聞いてください。なぜなら、精液検査の結果があまりよくなかった場合、男性はこういった件についてとても繊細なので、奥様の口から説明されることで、本人も気づかないうちに消極的な感情が芽生えてしまう可能性が高いのです。
お医者さんはプロです。今まで何名もの男性に同じ説明をされていますので、そのフォローもとても上手です。厄介な話はプロに任せましょう。また、これはあくまで知識としてですが、今日射精した精子は約80日前の細胞がもとになって作られたものです。仕事が忙しかったり、体調をくずしていたり、その時その時体調も違えば、精子の状態も違います。初回の検査結果がよくなくても3か月後に再検査したら全く問題なかったという方はたくさんいらっしゃいます。
以上、6種類の検査を見てきましたが、いかにも検査という作業は子宮卵管造影検査と精液検査です。とくに精液検査は「じゃあ明日採取よろしく」と言われてもご主人にもご主人の状態があると思います。やはり初診時にお医者さんから言われている検査スケジュールは早めの段階でご主人に報告しておきましょう。
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検査後の流れは、夫婦ごと・原因ごとに十人十色
さて、検査は受けたけれど、その後一体何をどうしていけばいいのか。検査結果を大きく3つに分類した上で以下ののようにまとめました。
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図のように検査を受けたことにより、不妊の原因が判明しても判明しなくても、妊娠までの道のりは長いものになります。
不妊検査について書いてきたわけですが、結局の所不妊の原因が不明だったら検査をした意味がないのではとおっしゃる方もいるかもしれません。でも検査を受ける前に、子宮に筋腫がないと言い切れますか?ご主人の精子の運動率はご存知ですか?きっと、検査を受けなければどれについても知らなかったことですよね。
不妊の原因が不明だったとしても、産婦人科に行くことにより収穫はたくさんあります。ほぼ正確な排卵日を割り出しタイミング指導を行っていただけたり、年齢が高い方などは高度医療のできる病院を紹介してもらえたり、不妊検査により卵管が広くなり妊娠しやすくなったり、お医者さんから注意を受けご主人が禁煙を始めてくれたり…!
私、不妊症なのかな…と検索魔になっているそこのあなた!情報はある程度に、検査へ行って自分やご主人の身体のことを正しく知りましょう。そして、いつか可愛い可愛い赤ちゃんを授かれますように!!
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